酒匂(さかわ)は帝国海軍軽巡洋艦阿賀野型の4番艦であった*1。戦争末期に竣工し、同型艦の矢矧(阿賀野型3番艦)と共に天一号作戦に参加する予定だったが、直前になって酒匂の出撃は中止された。矢矧は沖縄へ出撃し、1945年4月7日に戦艦大和と共に徳之島沖で戦没した。
その後、酒匂は作戦参加の機会もなく、終戦時は最後の水雷戦隊旗艦として舞鶴にて無傷で残存しており、終戦後は復員船として活動した。1946年2月25日に特別輸送艦の指定を解除されたあと、核実験(クロスロード作戦)の標的艦として戦艦長門などとともに、横須賀でアメリカ海軍に引き渡された*2。
7月1日にビキニ環礁で行われた核実験では、艦のほぼ上空で爆弾が爆発し、その強力な爆風により艦橋より後方の構造物がすっかりなぎ倒されてしまった(写真参照)*3。7月2日、丸一日近く炎上した後に沈没した。
姉妹共に連合艦隊の新旧の旗艦を勤めあげた戦艦をエスコートした形になっているのは、なんとも奇妙な一致ではある。
[追記]下記のblogに誕生から終焉まで非常によくまとめられているのでご参照いただければ幸いである。